【専門家監修】滑舌が悪いとお悩みの方へ。原因と自宅トレーニング法を解説します。

 

「仕事で人前で喋る機会が増えて、自分の滑舌の悪さに悩んでいる」

「電話口で、自分の名前をきちんと聞き取ってもらえない」

「友人と会話をしていてよく聞き返されてしまう」

など、仕事やプライベートで滑舌に関する悩みを持つ方も少なくないのではないでしょうか。

滑舌を良くするためには、基本的には長期的なトレーニングが必要になってきますが、中には自宅でちょっとしたトレーニングを行うことで改善されるケースもあります。

本記事では、ラジオDJやMC・ナレーターとして活動しながら、ボイストレーニング教室「シブイオンガクスタヂオ」で、発声や滑舌などのトレーニングを担当している講師なかむらが、 滑舌を良くしたいと考える方によく見られる原因と、ご自宅でも出来るトレーニング方法をご紹介します。

この記事の監修者

滑舌ボイストレーナー
なかむらのぞみ
ラジオDJ,MC,ナレーターであり、ボイストレーナー。所属するボイストレーニング教室「シブイオンガクスタヂオ」では“喋り声”に特化したレッスンを担当。お一人お一人の話し声の悩みに合わせて、ちょっとでも楽しめるユニークなレッスンを行っている。

滑舌が悪くなってしまう原因

①口を開けてない、横に開いてしまっている

レッスンに通ってくださる生徒さんの中でも「口を開いて」といっても、 実際はもっと開けるのに、全然開けていない。という方が多く見受けられます。

日本語は他の国の言語に比べると、そこまで口を開かなくても発声出来てしまうため、 あまり口を開けることを意識するということはないかもしれません。

また大きな声を出そうと思う時、横に「イー」と口を伸ばしている方もいますが、口は横に開きすぎると喉の奥も閉じてしまい、喋りにくくなってしまいます。

ポイントは縦に開くことあくびの時の形を意識すると、声が出しやすく、滑舌のよさにもつながってきます。  

ポイント

☑ 口を縦に大きく開く

②息がしっかり吐けていない

声を出すには、「呼吸」がしっかり出来ているかが大事なポイントになってきます。

声が出る仕組みを簡単にお話すると、息を吐き出す際に、その息が喉の奥にある「声帯」を震わせ、それが音となって出ていきます。

息の量や吐き出すスピードなどによって、声が高くなったり、低音が出たり、 早口になったり、ゆっくりになったりと、変化していくのです。

実際、滑舌に悩んでレッスンを受けに来てくださる生徒さんのほとんどが息をしっかり吐き出せておらず、

特に「さ行」が苦手という方は息を吐き出せていないことが原因であることが多いです。 まずは普段から息をゆっくり吐き出すことを意識してみることをオススメします。  

ポイント

☑ 息をゆっくり吐き出す

③口周りや舌の筋肉が鍛えられてない

口周りや舌にはたくさんの筋肉があり、ここがきちんと動くかどうかも声を出すための大切なポイントです。

例えば「ら行」は舌を丸めて、伸ばす際に上あごに舌の先がぶつかることで発することができるのですが、その舌を収縮させたり、しっかり上あごにつけるという動きが出来ないと明瞭な発音は出来ません。

また、「た行」や「な行」なども、舌の中部分を上あごにしっかりとつけることが大切です。

口周りの筋肉は鍛えていかないと、腹筋などと同様筋力が落ちてしまい、喋りづらくなってきてしまいます。昔は滑舌良く喋れていたのに、最近もごもごとしてしまう……という方は、口周りや舌の筋肉に原因があるかもしれません。

ポイント

☑ 口周りの筋肉を鍛える

滑舌をよくするために!自宅で出来るトレーニング法

①口回り・舌の筋力UPストレッチ

まずは、口の周りの筋肉や、舌を鍛えるためのトレーニング方法を3つご紹介します。

a)舌ストレッチ

「あっかんべー」と、小さいころ友達とふざけてやった思い出がある方もいると思いますが、その「あっかんべー」の舌だけをイメージしてください。思いっきり舌をひっぱるイメージで下に下げてみましょう。

さらに、下に引っ張るだけではなくて、上や左右にもストレッチするようなイメージで伸ばします。最後は時計回り、反時計回りにぐるっと一回転させます。

b)リップロール

口を閉じた状態で、息をゆっくり吐き出す力で唇をブルブルと震わせるトレーニングです。 最初はなかなか震わせられないのですが、諦めず続けると次第に筋肉がほぐれてきてブルブルっと出来るようになります。

唇が乾燥しているとうまく動かない時もあるので、お風呂場など少し湿度が多い場所や、リップクリームを塗るなどの工夫もオススメです。

c)タングトリル

いわゆる「巻き舌」のこと。舌を収縮させる動きを繰り返すことで、舌の筋肉を鍛えることが出来ます。

舌を軽く巻いて、舌先は上の歯の裏側あたりに置いて、そこから息を吐き出しながら最初は少し口を開いて、その後「るるるるるるる・・・・・」と続けばOK。

と言っても、これは最初から出来る人はなかなかいません。

そんな時にオススメなのが「サッポロラーメン」と口に出して繰り返し言ってみること。

特に「ポロラ」の部分で息を強めに吐き出してみると、舌がうまくだんだん巻けるようになってきます。

「ポロラッポロラッポロラッポロラッ・・・」とこの部分だけを繰り返すのもオススメ。

リップロールとタングトリル両方のトレーニングにもなります。

上記を1日各1分ずつでもいいから続けることで、口回りや舌の筋肉が鍛えられ、滑舌が改善されることにつながっていきます。

オススメはお風呂場で、湯舟に使っている時や、寝る前に仰向けになった状態などリラックスした状態で行うこと。体が緊張している状態だと、声も出しにくいので、体が自然とリラックスする入浴中はとても滑舌のトレーニングに適しています。

②声を出しての自宅トレーニング法

ここからは実際に声を出し自宅で楽しみながら出来るトレーニング法をいくつかご紹介します。

a)奥歯で飴を噛みながら話す

よく、割り箸を歯で噛んで喋るという方法なども見かけますが、それを飴で行うというトレーニングです。飴を奥歯で噛むことで、喉が強制的に開いた状態となり、さらに舌が強制的にたくさん動くようになります。

喋る時に、奥歯をぎゅっと噛みしめて、喉をしめてしまうという方も多く、そのことが声が出にくくなってしまったり、滑舌の悪さにつながってしまう原因ともなってしまうので、 飴をかみ砕かないように注意をしながら話すというトレーニングにもなります。

飴はどのようなものでもOKですが、できればのど飴やノンシュガータイプだと健康にもいいですよ(笑)

最初は自分の出る変な発音や声に笑ってしまうかもしれませんが、繰り返し行うと、普通に喋るのと同じように明瞭な声が出てくるようになってきます。

滑舌のお悩みだけでなく、声の小ささに悩んでいるという方にもオススメです。

b)言葉をローマ字に書き換えて読んでみる

例えば「老若男女」というのも読みにくい言葉の代表例ですが、これをローマ字に書き換えると「ROU NYAKU NAN NYO」となります。

すると、どうでしょう。なんとなく読みやすく、喋りやすくなりませんか。

これは、ローマ字で書くことで「母音を意識する」ことが出来るからです。 滑舌が良い状態というのは、この「母音」がしっかり発音出来ているかがポイントになってきます。そのためローマ字で書くことで、自然と母音を意識出来て、口が動いてくれるようになります。

一度早口言葉などで試してみることをオススメします。

c)プロのマネをする

TVやラジオ、Youtubeなどでプロのアナウンサーや声優さんなどが話しているものをマネして後追いで喋ってみましょう。

繰り返し何度も練習すると、プロの喋り方が身についてきます。

正しい発音なども身についてくるので、イントネーションなどに悩みがある方にもおすすめです。

また、歌うことも滑舌のトレーニングにつながります。オススメはラップ。1音に込められる言葉の量が歌よりも多いことと、また母音を揃えて韻を踏んでいくため、自然と母音にも意識がいきます。

「この人みたいにうまく喋りたい、歌ってみたい」という方がいたらぜひマネしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

 

滑舌で悩む方へ、その主な原因と、自宅でできるトレーニング方法をご紹介してきました。

トレーニングは私自身も普段のレッスンで生徒さんにやってもらい、効果が高かったものばかりです。ぜひ出来そうだなと思うものから試してみてください。 ただし、一朝一夕で身につくものではありません。すぐに出来なくても、毎日ちょっとずつでもやり続けることが大切です。

もちろん、上記に挙げた原因やトレーニング以外にも、滑舌を改善させるための方法はあります。

・自宅でのトレーニングのみだと難しい

・自分の喋り、話し方を客観的に見てもらいたい

・自分に合ったトレーニングを教えてほしい

という方は、ボイストレーニングに通うことも検討してみてはいかがでしょうか。

私が所属するボイストレーニング教室「シブイオンガクスタヂオ」では、歌や喋りの基礎となる、発声を身につける教室として『カリキュラム・マニュアルを使用せず、ひとりひとりにあわせたオリジナルレッスン』を提供しています。

東京の飯田橋と神保町に教室があります。

もしご興味があれば、一度ホームページを覗いてみてください。

最後になりましたが、この記事が少しでも滑舌にお悩みの方のお役にたてれば幸いです。

© よむしる